こちらも、去年からちょこちょこ書きつつ、様子見していた日記。
2021年12月頃に書いた物です。(現在2022年9月)
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ちょっと書こうかどうか迷ったけど、今書いておかないと、後で時間ないだろうし、自分の頭の中、今の気持ちを整理する為にも記録として書き止めておきます。長文です。
モントリオールの日本の方でまだ知らない人も多くいるだろうが、最近、「ゲイシャをテーマにしたサパークラプ(食事もできる大型クラブ)がオープン予定」という情報を(2021年)11月後半に耳にした。
なにやら、かなり否定的な感想が飛び交っている。なぜかというと、そのお店がフェイスブックやインスタに宣伝用に載せてるイメージ画像が、着物姿のアジア人女性であり「日本人女性を性的な物 (sexual objectification問題)として宣伝に使っている」という批判である。
気になって、そのレストランのインスタを見てみたら、どうやら私、そのお店のインスタ写真を数週間前に見ており「いいね!」を押していた。その写真は振袖姿と花魁姿の女性で、着物も豪華だし、綺麗な着付けで、メイクもヘアセットも素敵。その時は、詳細など見ず、写真をチラ見しただけで、「誰が着付けしたんだろ?モントリオールにこれできる人、着物やヘアアクセサリー提供できる人いる?(いたら知りたい)、日本に行って撮影したのかな?」と気になったくらい。
よくよく、そのお店の他のインスタ画像も見てみると、振袖、花魁姿の女性以外にも中国の漢服っぽい服を着た女性、チャイナドレスっぽい服を着た女性と、とにかく民族衣装っぽいエキゾチックな格好をしたアジア人女性の写真を並べたて、ゲイシャと名のつく店の宣伝に使っており「おや?この店、ゲイシャの事、全然わかってないよね。まぁ、こっちの人アルアルやな。」と見つつ、不信感を抱きだす私。でも、お店のインスタのコメントはポジティブなものばかり。
このインスタを見た時点で、私よりJMが「これアカンやつやろ」っと言ってお店のSNSに批判的なコメント残す。
で、フェイスブックを見てみると、皆んな、文句を言っている。「アジア文化ごちゃ混ぜにし過ぎ。失礼すぎる!」「女性をセックスアピールに使うな!」「写真、盗用してるだろ!」とのコメントが。
そう、素敵だなっと思った着物姿の写真、ちょっと調べたらすぐに判明したのだが、全部盗用写真。振袖の女性は、そこそこ日本では有名なモデルさんらしく、振袖レンタル会社Takazenさんが撮影したもの。花魁姿のは、舞妓花魁体験フォトスタジオ京都ココログループさん撮影のもの。
このレストランの経営グループ、すでに何店も大型サパークラブ的な店を経営しているので、もしかしたら、使用許可、取ってたりするかも?と思って日本の会社に問い合わせてみたが、やはり両者とも無断使用。チャイナドレスっぽいのも、インドネシアの雑誌Dewiに掲載されたモデルDara ,写真家Ryan Tandyaのもので、こちらも無断使用だろう。漢服は元の出どころは分からないが、全部、恐らく、ピンタレストから拾ってきた物だと推測。
写真元↓
https://kokorography.com/make-over/https://www.designscene.net/2015/02/dara-ryan-tandya-dewi-magazine.html
それも全て、女性の姿のアウトラインを切り取って、反転させたり、背景をレストランぽい絵に切り替えたり、写真元のクレジットの表示などもなしで、元のフォトグラファーさんや制作者さんにも何の敬意も感じられず、ただの泥棒行為。私も不快感が上昇。
このお店の件に私が気付く前にすでに話題にしていた人達がFBで書き込みしている人達が言うには「否定的なコメントや疑問を呈すると削除された。もしくは本人以外、見えない設定にされてる」と。確かに、JMが残したコメントは、速攻削除された。
フェイスブックはまだ残っている否定的なコメントも散見されるが、私が気がついた時、11月23、24日くらい?より、前にもっと文句を言った人達がいたらしく、その時は、店側も返信していた様なのだが、返信内容は、上から目線の「嫌なら来るな。」や「じゃ、あんたらアジア人はもうピザ作んなよ」的な問題点を理解していない的外れな物が多かった様子(スクショで残してる方がいて見たが酷い内容)。私が気付いた時は、お店のフェイスブック上からは完全に消去されていた。
ちなみに、文化の盗用問題で、
「日本人以外がゲイシャ扱うなって言うなら、イタリア人じゃないお前らはピザ作んな」とか「西欧人でもないのに洋服着るな!」って理屈は実にアホらしい返答で、根本的に文化の盗用とは何か分かっていないレベル。他文化を扱おうとしている店のオーナーがそんな発言する時点でお察しである。
日本人、アジア人が少ないマイノリティのモントリオールで白人=マジョリティである人達が中心となって、マイノリティの文化を敬意もなしに使い、金儲けする事が問題(文化の盗用の典型)であり、マイノリティがマジョリティ(強い民族や立場の者)の文化を取り入れるのは歴史的に見て盗用ではなくどちらかというとassimilation。
こういった海外でゲイシャやキモノが”文化の盗用”だと言って問題になる場合、意外と日本にいる日本人は「それくらい良いじゃない。綺麗に着物着てくれたら良いよ。見た目可愛かったらいいよ。何が問題なの?フィリピンパブとかあるじゃない。」などと言う意見が浮上してくる。海外では叩かれてるのに、日本では「それくらい僕たちは良いよー」って事が多々ある。
きっと私も日本にいる時はそんな感じだったし、海外歴長くなってきても、正直、数年前まではそんな感覚の方が強かった。数年前、ケイティ・ペリーが着物っぽい格好で歌った姿が、文化の盗用と北米で問題になった事がある(2013年)、当時、私は「なんか着物とは違うけど可愛いじゃない。日本好きだそうだし、そこまで叩く事ないんじゃない?」っと思ったもんである。これは、目線が、完全にマジョリティーとしての日本人だから。
海外で着物を扱うようになり、非日本人が着物に対して持っているイメージ(正装の振袖姿などではなく、ハリウッド映画などで出てくるなんちゃってゲイシャやセクシーなイメージが強い)などを理解していく中で、再度、今、このケイティ・ペリーの動画を見直してみると、確かに、衣装や小道具、舞台設定など、中国と日本を混同しているし、バックダンサーのメイクなどもカリカチュアされた感じで、日本好きであれば、日本のPOPなイメージだけでなく、もう少し配慮、勉強してできたであろうと言う感想。
当時、怒りを表したアジア系の人達には道理があったと今ならわかる。日系アメリカ人や他のアジア系アメリカ人は幼い頃から、西洋がステレオタイプ化する“なんちゃって日本”、"勘違いアジア”の表現にうんざりしているのだ。この場合、日本にいる日本人が「別に良いよ。可愛いよ」と言うのは筋違いなのだ。
文化の盗用を口にする時、自分が直接の被害者、嫌悪感を覚える経験をしないと何が問題か気付くのは、難しい。日本にいる日本人は日本社会ではマジョリティ、少数派としての目線が持てないから被害者意識に結びつかない。
フィリピンパブは、(欧米のアイリッシュパブでも)、日本でフィリピンやアイリッシュの人(少数、立場の弱い民族)達が、「嫌だやめてくれ」っと言う声が大きくなったら耳を傾けるべきではないか?また、文化の盗用とは違うが、「メイドカフェやコスプレバーとかどうなの?」と言う意見もそのお店によって負のイメージを植え付けられたりして、嫌がる人が増えれば、考える必要があるのではないか。法律で許可されていたとしても「ビジネスとして成功すれば良いじゃない」と言って、弱いものや被害に遭う側の意見を無視して良いのか?その時代や状況によって、嫌がる人達の声が大きくなれば耳を傾ける必要はあるのではないか。
ちょっと話がそれた。
今回の店は、
・写真の無断使用、
・アジア文化一緒くたにした知識、敬意のなさ、
・批判的な意見は削除、隠蔽体質
もさることながら、
海外でのゲイシャと言う言葉の危うさ問題も含んでいる:
日本では、芸者と振袖姿の女性とただ単に着物を着ている女性、多くの方はなんとなく見分けがつくだろうが、海外でゲイシャと言うと、単に、着物を着ている女性でもゲイシャと言われたり、それも体を売っている売春婦と見られる事も少なくない。
アジア人女性へのフェティシズム、セクシャライゼイション問題:
欧米?ではアジア人女性というだけで性的に見られたり、アクセサリー化、アイコン化し使用される事が昨今問題になっている(いや、ほんと、日本にいる日本人が思っている以上に、日本人、アジア人女性への性的ロマンチシズムやらフェティシズムが海外では酷く、気持ち悪いレベル。)。
お店は、まだ開店前(2021年12月当時)だが、彼らのお店はただのレストランではなく、すでに経営している同系列店から察するに肌の露出が多いセクシーな衣装を着た女性がダンスやショーなどを披露するキャバレースタイルのナイトクラブ、大型豪華バーラウンジ的なお店になるのではと予想されている。
ダンスやショー、ひとつひとつはそれぞれの芸術、プロとして非難されるものではないが、露出が多い、セクシーさをアピールする様なショーの中、”ゲイシャ”っぽい、”キモノ”っぽい装い、日本やアジアを連想させる衣装を纏った女性(まともに着物を着れる人を見つけるのはココではほぼ不可能なのでペラペラサテンのキモノ風セクシーローブとかになりそう)を配したりするのであれば、それは日本人女性、着物を着た女性を性的に物、アクセサリー的に扱う事(ハイパーセクシャライゼイション)を助長する危険性があるのではないか。
もうすでに昔からあるレストランなどは仕方がないにしても、この2021年に新たにつける店の名前が「ゲイシャ」っとは、酷くないか?日本好きで「京都で芸舞妓体験したのを元に僕なりのクリエイティビティーでゲイシャワールドをリクリエイトしたい!」ってオーナーは動画の中で言っているのだが、チープ過ぎる夢ではないか?
海外で、白人のみならず日本人の私だって、日本好きなら「着物や芸者モチーフのお店、素敵だな、やってみたいな」っと、チラッと頭をかすめる人は多いと思う。全然、独創的でも何でもない。なぜ、それを実現する人が少ないのか、もしくは過去、そういった店はあったがなぜ潰れていったのか、やはりそこには問題があり、疑問を呈する人、不快感を示す人の声があり、大好きな日本文化を紹介するのに、悪意なく始めたものであったとしても、現状、それによって、プラスではなく負のイメージを植え付けられ、実生活で困る日本人女性やアジア人女性が出てくる事が容易に想像できるからだろう。
私は「何でもかんでも文化の盗用と言って、締め付けるのは、自分達の紹介したい文化を衰退させる事にもなる。」とも思っている。例えば、「着物はこう着るべし。こんな使い方は許せない。こんなの着物じゃない!」とあまりにも言い過ぎると日本人以外の人は、着物を着る事を躊躇し「これってあなたの文化を侮辱した事にならない?」っと敬遠され、広めたい、色んな人に着て欲しい着物文化を衰退させる事にもなりえるから。
どこからが文化の盗用であるかの線引きはクリアではなく、その事象が起こった場所、状況にも左右されるであろうが、今回のこのお店の件は、どんなに贔屓目に見ても、オーナーが日本人であっても、友達であっても、「あなた正気?」と言わずには居られない初動である。まだ、オープンしていないのでどんな店になるかの詳細は分からない。
何件かメディアインタビューを受けたが、現在、お店側はメディアからの問い合わせにも答えない状況だという。アジア人・日本人からの意見や問い合わせを一才無視する店が、日本、ゲイシャをテーマにしたお店をオープンする事に「楽しみぃー!」と私は言えない。不安でしようがない。こんな風に感じているのは私だけかな?っと周りのモントリオールの日本の方々にも聞いてみたが、やはり皆、不快、不安感を示し、商売してる人は、止めろとは面と向かっては言えないが、「悪趣味、嫌だね。」と言う感じ。
そして、やはり移民一世の私達よりも日系移民2、3世の方々の方が、怒り数倍である。生まれてからずっとマイノリティーとして育ってきた彼らの方が、自分達の文化を悪用される事に敏感だからだろう。
(2021年12月)現在、お店が沈黙を保っている為、(メディア側が盗用写真の件を伝えた事で、盗用写真は削除された)様子見の状況ではある。
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これを投稿しようとしている現在は2022年9月、
この後、2022年5月にこの店はオープン。
問い合わせには、一才、返答ないまま名前は変更したものの、
いわゆるブッダバー的な仕上がりに。
この件に関しては、またおいおい、書くかなぁー。
あと、この夏、元舞妓さんの告発なんかも日本では話題になり、
私の想像以上に、今でも京都の花街は芸舞妓に飲酒させたり&それ以上の諸々発覚、
今までは「現代の芸者は芸を売るもので色は売らない。」とこちらの方には説明していたが、
これはもう言えない。もしかしたら、上記の店のオーナーはそんな所で芸舞妓遊びしちゃったんだろうか。
そういうのが日本の夜のエンターテイメント!的に海外に流れるのホント、頭痛い。。。



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